一人税理士法人の設立要件緩和とインボイス制度についての私見

このたび、税理士会より制度部および調査研究部での審議の参考にするためのアンケートのご依頼をいただきました。
私個人として、次の2つのテーマについて意見を回答させていただきました。

1️⃣ 税理士法人制度(1人法人の設立要件緩和)
2️⃣ インボイス制度の経過措置の恒久化

日々の実務を通じて感じていることを、率直にまとめました。以下、その内容をご紹介します。


税理士法人の設立要件緩和について

現在、税理士法人を設立するためには、2名以上の税理士が社員となる必要があります。
しかし、これからは1人でも税理士法人を設立できるようにしようという改正が検討されています。

私は、この方向性に賛成です。

もし1人でも設立できるようになれば、次のようなメリットがあります。

  • 社会的信用度の向上
  • 税金や社会保険料の負担の最適化
  • 事業承継(後継者への引き継ぎ)の柔軟化

また、法人形態を選べることで、金融機関やお客様からの信頼も高まり、独立したい若い税理士にとっても大きな後押しになると思います。
税理士試験の受験者が年々減っている中、こうした制度改革によって「税理士という職業の魅力」を高めることにもつながるのではないでしょうか。


インボイス制度の経過措置の恒久化について

インボイス制度が始まってから2年が経過しましたが、現場では今もさまざまな課題があります。
特に、免税事業者やフリーランス、小規模事業者の方々にとっての負担は非常に大きいと感じています。

物価や仕入れコストが上がっても、それを販売価格に転嫁できない状況の中で、
経過措置が終わってしまうと「インボイスを発行できない事業者」との取引を敬遠されてしまうおそれもあります。

このような中で、現在設けられている

  • 「免税事業者等からの仕入れに係る経過措置」
  • 「2割特例」

は、とても有効な仕組みです。
(2割特例は、課税事業者になった小規模事業者が、納付税額を売上税額の2割とすることができる特例です。)

経理の負担を減らし、税務行政全体の効率化にもつながるため、
この制度は一時的な経過措置ではなく、恒久的な制度として続けていくべきだと考えています。


おわりに

今回のアンケートは、あくまで「私個人の意見」として回答させていただいたものですが、
現場の税理士として、実際の業務を通じて感じている課題を率直にお伝えしたつもりです。

制度改正にあたっては、実務の現場の声が反映され、
事業者の方々にとっても、税理士にとっても、より現実的で働きやすい制度になることを願っています。


※本記事の内容は、松浦玉枝税理士個人の見解であり、所属する税理士会等の公式見解を示すものではありません。

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