クラウドファンディングを利用する際の税務上の注意点とは?失敗しないためのポイント解説

最近、クラウドファンディングを活用して新しいビジネスやプロジェクトを始める方が増えています。特にインターネットを通じて資金を集められる便利な手段ですが、その一方で、税金の申告ミスが増えているのも事実です。今回は、クラウドファンディングを利用する際に知っておくべき税務上のポイントについて、分かりやすく解説します。

クラウドファンディングには2つのタイプがある

まず、クラウドファンディングには大きく分けて「購入型」と「寄付型」の2種類があります。

  • 購入型:支援者に対して商品やサービスなどのリターンを提供するタイプ。
  • 寄付型:リターンを必要としない、いわゆる寄付を集めるタイプです。

どちらのタイプを利用するかによって、会計処理や税金が異なりますので、しっかりと理解しておく必要があります。

資金を受け取った際の会計処理が重要

購入型クラウドファンディングの場合、支援者から資金を受け取った時点では、これは「前受金」として処理します。リターンを提供したタイミングで、その前受金を「売上高」として計上します。ここで大事なのは、リターンを提供するまでは売上として計上しないことです。

このプロセスを誤ると、税務調査で「売上計上の漏れ」と指摘される可能性があるため、正しいタイミングでの会計処理が必要です。一方、寄付型の場合は、リターンがないため、入金された時点で「受贈益」として収益計上すれば良いので比較的シンプルです。

消費税にも注意が必要

クラウドファンディングでの収益が多くなると、消費税の課税事業者になる可能性もあります。例えば、売上計上のタイミングがずれてしまうと、過去の売上が基準額を超え、消費税を納める必要が出てくることも。そのため、売上の時期をしっかり管理し、適切なタイミングで計上することが大切です。

国税当局も監視を強化している

クラウドファンディングはインターネット上で実施されるため、国税当局は容易に収益を把握できます。過去の実績や募集額はすべて公開されており、税務調査の際にもチェックされやすいです。申告ミスがあれば追徴課税や延滞税が発生するリスクもあるため、慎重に対応することが必要です。

最後に

クラウドファンディングを利用して多額の資金を調達することは魅力的ですが、税務処理は意外と複雑です。特に、初めて利用する方は思わぬミスをしてしまいがちなので、事前に税理士に相談し、正確な会計処理を行うことが重要です。

クラウドファンディングを成功させるためにも、税務の基本を押さえて、しっかりと準備しておきましょう!

2025年4月から公益法人制度が変わります!

2024年5月14日衆議院本会議にて「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」が原案どおり可決・成立し、同月22日に公布されました。
現在は、新制度の施行(2025年4月から施行予定)に向け、政令や内閣府令、ガイドライン等の見直しが進められています。

この法律改正は公益法人にとっていくつかの重要な影響を与えます。

財務規律の柔軟化

これにより、公益法人は将来のプロジェクトのために資金を積み立てることができるようになります。長期的な視点での財務計画が可能になり、安定した運営が期待できます。

手続きの簡素化

収益事業の変更手続きが簡素化されることで、迅速に新しい事業を開始できるようになります。これにより、社会のニーズに迅速に対応できるようになります。

ガバナンスの強化

外部理事の導入や特別利害関係の排除により、組織の透明性と信頼性が向上します。これにより、寄付者や支援者からの信頼が高まり、より多くの支援を受けやすくなります。

このように、改正は公益法人の運営をより柔軟かつ効率的にし、社会に対する貢献度を高めることが期待されます。

経営者必見!節税になる福利厚生制度の活用術

福利厚生は、社員の満足度を高めるだけではありません。実は、適切に活用することで、企業の税負担を軽減する大きなチャンスになります。でも、どの制度を選べばいいのか、無駄なコストがかからないか、不安に感じていませんか?

福利厚生制度は、従業員のモチベーションを高めるために導入されることが多いですが、実は賢く使えば節税効果も期待できます。例えば、従業員への福利厚生費は、給与とは異なり、一定の範囲内であれば非課税として扱われることがあります。

具体的には、団体医療保険や確定拠出年金、福利厚生施設の利用補助などが該当します。最近では、カフェテリアプランも人気です。これらをうまく活用すれば、法人税の負担を軽減しながら、従業員の働きやすさも向上させることができます。

さらに、福利厚生を充実させることで、社員の定着率が高まり、結果的に企業の成長にもつながります。つまり、従業員にも企業にもメリットがあるということです。

当事務所では、法人経営者の皆様が適切な福利厚生制度を導入し、最大限の節税効果を得られるようサポートしています。福利厚生を通じて、会社の未来を一緒に作りませんか?

令和6年度税制改正大綱のポイント~法人税①~

1.賃上げ促進税制

賃上げ促進税制は、令和6年度税制改正のメインテーマとも言えます。

特に、資本金1億円以下の中小企業向けの賃上げ促進税制については、控除率が最大45%(現行:40%)に引き上げられ、繰越控除措置も新設されるなど、手厚い内容となりました。

繰越税額控除制度は、適用事業年度が赤字で法人税額がない場合や、税額控除限度額が控除上限額(当期の法人税額の20%)を超える場合等に適用できます。ただし、繰越税額控除をする事業年度において、全雇用者の給与等支給額が前年度より増加している場合に限られます。

出典:東京商工会議所令和6年度税制改正大綱|税制改正について知りたい |東京商工会議所 (tokyo-cci.or.jp)

2.交際費課税の特例の拡充及び延長

交際費等の損金算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が「1人当たり1万円以下」(現行:5,000円以下)に引き上げられます。

また、接待飲食費の50%損金算入特例と中小企業の定額控除限度額(年800万円)の特例の適用期限が令和9年3月31日まで3年間延長されます。

3.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例

適用期間が令和8年3月31日まで2年間延長されます。

また、出資金等が1億円超の組合等のうち常時使用する従業員の数が300人をこえるものが対象から除外されることになりました。

※ 本内容は、2024年度(令和6年度)税制改正大綱及び関連省庁の公表資料に基づいています。
今後の法令等により内容が変わる可能性がございますので、ご注意ください。

有姿除却

固定資産の除却損は、その資産を物理的に除却した時に計上できます。

ただし、物理的に除却していなくても認められる場合があります。

法人税基本通達7-7-2(有姿除却)

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。(昭55年直法2-8「二十五」により追加)

(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

例えば、製造を中止した製品に係る機械装置や器具備品などについて、上記要件を満たす場合には、物理的な処分がまだであっても除却損を計上できます。

ただし、建物についての有姿除却は、否認される可能性が高いので、顧問税理士にご相談のうえ適用してください。

役員退職給与

平成29年税制改正後は、役員退職給与は「業績連動の役員退職給与」か「業績連動でない役員退職給与」かにより取り扱いが変わりました。

業績連動の役員退職給与の場合、業績連動給与としての損金算入要件を満たしてはじめて損金算入されます。中小企業の場合、業績連動給与の要件(有価証券報告書を提出していることなど)を満たせないため、業績連動の役員退職給与に該当しないようにしなければなりません。

なお、功績倍率法に基づいて支給する退職給与は法人税基本通達9-2-27の3により業績連動給与に該当しない旨が示されています。

(参考)法人税基本通達9-2-27の2 業績連動給与に該当しない退職給与

ただし、功績倍率法による場合でも、業績連動の要素が強い場合には、業績連動給与に該当するケースもあり得ますので注意が必要です。

法人税基本通達逐条解説(抜粋)
仮に法人が用いている「功績倍率」が業績連動給与に該当することとなる利益の 状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標等を基礎として算定されるも のである場合、業績連動給与に該当するケースも考えられる。

同族会社の債務免除とみなし贈与

会社にお金を貸している社長が亡くなった場合、その貸付金は相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。

相続税を計算する際、貸付金は原則として額面で評価することになりますので、多額の貸付金を有している場合には、生前に対策が必要です。

その対策の一つして考えられるのが「債権放棄」です。

社長が貸付金を債権放棄すると、貸付金は消滅しますので相続財産は減少します。

ただし、ここで注意しないといけないのが、
① 債務免除を受けた法人側では「債務免除益」が計上される
② 「みなし贈与」が発生するケースがある
という点です。

①については、法人側に債務免除益を吸収できるだけの繰越欠損金があれば、法人税の負担は生じません。

②については、社長本人が会社の株式を100%保有している場合には問題は生じません。
問題となるのは、「同族会社で社長以外の株主がいる場合」かつ「債務免除により株価が上昇する場合」の両方を満たすケースです。

債務免除を受けるとその会社の負債が減少し、純資産が増加します。それでもまだ債務超過である場合には問題となりませんが、純資産がプラスに転じるような場合には、相続税基本通達9-2の規定により、債権放棄をした社長からその他の株主に株価の増加分相当の贈与があったものとみなされ、贈与税が課税されてしまいます。

相続対策で役員借入金を債権放棄する際には、「債務免除を受ける法人側での課税関係」及び「株主側での課税関係」を考慮する必要がありますので、実行する前に税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

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