令和6年度税制改正大綱のポイント~法人税①~

1.賃上げ促進税制

賃上げ促進税制は、令和6年度税制改正のメインテーマとも言えます。

特に、資本金1億円以下の中小企業向けの賃上げ促進税制については、控除率が最大45%(現行:40%)に引き上げられ、繰越控除措置も新設されるなど、手厚い内容となりました。

繰越税額控除制度は、適用事業年度が赤字で法人税額がない場合や、税額控除限度額が控除上限額(当期の法人税額の20%)を超える場合等に適用できます。ただし、繰越税額控除をする事業年度において、全雇用者の給与等支給額が前年度より増加している場合に限られます。

出典:東京商工会議所令和6年度税制改正大綱|税制改正について知りたい |東京商工会議所 (tokyo-cci.or.jp)

2.交際費課税の特例の拡充及び延長

交際費等の損金算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が「1人当たり1万円以下」(現行:5,000円以下)に引き上げられます。

また、接待飲食費の50%損金算入特例と中小企業の定額控除限度額(年800万円)の特例の適用期限が令和9年3月31日まで3年間延長されます。

3.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例

適用期間が令和8年3月31日まで2年間延長されます。

また、出資金等が1億円超の組合等のうち常時使用する従業員の数が300人をこえるものが対象から除外されることになりました。

※ 本内容は、2024年度(令和6年度)税制改正大綱及び関連省庁の公表資料に基づいています。
今後の法令等により内容が変わる可能性がございますので、ご注意ください。

有姿除却

固定資産の除却損は、その資産を物理的に除却した時に計上できます。

ただし、物理的に除却していなくても認められる場合があります。

法人税基本通達7-7-2(有姿除却)

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。(昭55年直法2-8「二十五」により追加)

(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

例えば、製造を中止した製品に係る機械装置や器具備品などについて、上記要件を満たす場合には、物理的な処分がまだであっても除却損を計上できます。

ただし、建物についての有姿除却は、否認される可能性が高いので、顧問税理士にご相談のうえ適用してください。

役員退職給与

平成29年税制改正後は、役員退職給与は「業績連動の役員退職給与」か「業績連動でない役員退職給与」かにより取り扱いが変わりました。

業績連動の役員退職給与の場合、業績連動給与としての損金算入要件を満たしてはじめて損金算入されます。中小企業の場合、業績連動給与の要件(有価証券報告書を提出していることなど)を満たせないため、業績連動の役員退職給与に該当しないようにしなければなりません。

なお、功績倍率法に基づいて支給する退職給与は法人税基本通達9-2-27の3により業績連動給与に該当しない旨が示されています。

(参考)法人税基本通達9-2-27の2 業績連動給与に該当しない退職給与

ただし、功績倍率法による場合でも、業績連動の要素が強い場合には、業績連動給与に該当するケースもあり得ますので注意が必要です。

法人税基本通達逐条解説(抜粋)
仮に法人が用いている「功績倍率」が業績連動給与に該当することとなる利益の 状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標等を基礎として算定されるも のである場合、業績連動給与に該当するケースも考えられる。

同族会社の債務免除とみなし贈与

会社にお金を貸している社長が亡くなった場合、その貸付金は相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。

相続税を計算する際、貸付金は原則として額面で評価することになりますので、多額の貸付金を有している場合には、生前に対策が必要です。

その対策の一つして考えられるのが「債権放棄」です。

社長が貸付金を債権放棄すると、貸付金は消滅しますので相続財産は減少します。

ただし、ここで注意しないといけないのが、
① 債務免除を受けた法人側では「債務免除益」が計上される
② 「みなし贈与」が発生するケースがある
という点です。

①については、法人側に債務免除益を吸収できるだけの繰越欠損金があれば、法人税の負担は生じません。

②については、社長本人が会社の株式を100%保有している場合には問題は生じません。
問題となるのは、「同族会社で社長以外の株主がいる場合」かつ「債務免除により株価が上昇する場合」の両方を満たすケースです。

債務免除を受けるとその会社の負債が減少し、純資産が増加します。それでもまだ債務超過である場合には問題となりませんが、純資産がプラスに転じるような場合には、相続税基本通達9-2の規定により、債権放棄をした社長からその他の株主に株価の増加分相当の贈与があったものとみなされ、贈与税が課税されてしまいます。

相続対策で役員借入金を債権放棄する際には、「債務免除を受ける法人側での課税関係」及び「株主側での課税関係」を考慮する必要がありますので、実行する前に税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

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