3,000万円特別控除と住宅ローン控除

自宅を買い替えて譲渡益が出た場合には、3,000万円特別控除(措法35)の適用を受けることにより、課税所得を減らすことができます。

ただし、3,000万円特別控除と住宅ローン控除は同時に適用を受けることができませんので、買い替えをする場合にはどちらの適用を受けるのが有利かを考える必要があります。

居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例(措法35)

個人がマイホーム(居住用財産)を売却したときは、一定の要件を満たすことにより、譲渡益から最高3,000万円を控除することができます。

●この特例の適用を受けるための主な要件

・自分が住んでいる家屋、または家屋とともにその敷地や借地権を売却すること

・以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

・家屋を取り壊した場合には、次の2つの要件全てに当てはまること
①その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
①家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

・売却した年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと

・売却した年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと

・売手と買手が親子や夫婦など特別な関係でないこと

3,000万円特別控除を受けた場合の住宅ローン控除の不適用

住宅ローン控除については、入居した年、その前年又は前々年に3,000万円の特別控除の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。

どちらが得か?

譲渡所得に係る3000万円特別控除や住宅ローン控除の適用をお考えの方は、どちらを適用する方が節税効果があるのか、見極める必要があります。ぜひ、専門家にご相談ください。

国税庁「お問合せの多いご質問」

インボイス制度に関して、様々な情報が国税庁のサイトで更新されています。

その中でも、都度更新されている「お問合わせの多いご質問」が11月13日付で更新されてます。

〇お問合わせの多いご質問(令和5年11月13日更新)

上記には、Q&A公表後に多く寄せられるご質問として、追加・改定等として整理し、集約されてた13問が掲載されています。

免税事業者の交付する請求書等についてや、売手が負担する振込手数料について、従業員の立替払いについてなど、実務で発生するケースの多い事項が記載されています。

これまで記載されていなかった柔軟な対応ができるような取り扱いも掲載されていますので、実務担当者の方はご一読ください。

有姿除却

固定資産の除却損は、その資産を物理的に除却した時に計上できます。

ただし、物理的に除却していなくても認められる場合があります。

法人税基本通達7-7-2(有姿除却)

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。(昭55年直法2-8「二十五」により追加)

(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

例えば、製造を中止した製品に係る機械装置や器具備品などについて、上記要件を満たす場合には、物理的な処分がまだであっても除却損を計上できます。

ただし、建物についての有姿除却は、否認される可能性が高いので、顧問税理士にご相談のうえ適用してください。

年末調整の季節が近づいてきました

最近バタバタしており、更新が途絶えてしまっていました。

今日、生命保険や地震保険料の控除証明書が郵送されてきました。

もうそんな季節ですね。早いものです。

子供が通う保育園では、インフルエンザの感染者がチラホラ出ています。

急に寒くなってきましたので、皆様ご自愛ください。

居住用賃貸建物に係る仕入税額控除

令和2年10⽉1⽇以後の課税仕⼊れ等から、居住⽤賃貸建物に係る仕⼊税額控除の適⽤が制限されています。

仕⼊税額控除の制限対象となる「居住⽤賃貸建物」とは、⾮課税となる住宅の貸付け (消法別表第⼀13号)の⽤に供しないことが明らかな建物以外の建物(⾼額特定資産⼜は 調整対象⾃⼰建設⾼額資産)です。

「住宅の貸付けの⽤に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況等により住宅の貸付けの⽤に供しないことが客観的に明らかなものが該当します。( 消基通11-7-1 )。

賃貸マンション等を⺠泊サービス事業のために取得した場合、その建物は構造等から判断して住宅ですので「居住⽤賃貸建物」に該当し、仕⼊時に仕⼊税額控除を適⽤できません。

ただし、仕⼊税額控除の制限対象となっても、『調整規定の要件』をすべて満たせば、居住⽤賃 貸建物に係る課税仕⼊れ等の税額のうち⼀定額を第3年度の課税期間の仕⼊控除税額に加算することができます。( 消法35の2 ①、 消令53の2 )

●調整規定の要件
・第3年度の課税期間の末⽇に居住⽤賃貸建物を有していること
・居住⽤賃貸建物の全部⼜は⼀部を、仕⼊れ等の⽇から第3年度の課税期間の末⽇までの間(調整期間)に「課税賃貸⽤」に供すること

「課税賃貸⽤」とは、⾮課税の住宅の貸付け(消法別表第⼀13号) 以外の貸付けの⽤とされています( 消基通12-6-1 )。課税売上が発⽣する⺠泊サービス事業としての貸付けは、⾮課税の住宅の貸付けから除外されるものに当たり「課税賃貸⽤」に該当します。

したがって、民泊サービス事業のために取得した建物は、仕入時に仕入れ税額控除を適用できませんが、第3年度の課税期間の末日までの間に民泊サービス事業として貸付けを行っていれば、第3年度の課税期間の仕入税額に一定額を加算調整することができるということになります。

インボイス制度とETC料金~追加情報~

先日、インボイス制度開始後は、ETC料金のインボイス対応についてご説明しましたが、9月15日、国税庁が「お問い合わせの多い質問」を更新し、柔軟な対応を認める旨を示しましたので、その内容についてご説明したいと思います。

利用証明書は高速道路会社等ごとに任意の1回分のみでOK

「ETC利用照会サービス」に登録し、すべての利用証明書を取得するのは大変手間がかかるという声があがっていました。これを受けて、国税庁は9月15日、インボイス制度に係る「お問合せの多いご質問」を更新し、「利用証明書」のダウンロードについては、利用した高速道路会社等ごとに1回のみで済む柔軟な対応を認める旨を示しました。

なお、空港と内陸部を結ぶ連絡橋の通行料金(空港連絡橋利用税)など、消費税の課税対象とならない金額がある場合、その金額は仕入税額控除の対象外となる旨の記載されておりました。

国税庁HP お問合せの多いご質問(随時更新)

インボイス制度とETC料金

いよいよインボイス制度開始まで半月となりました。

最近、お問い合わせいただくことが多い「ETCの利用料金」について、ご紹介します。

ETCの利用料金については、これまではクレジットカードの利用明細で使用額を確認し、会計処理を行うというのが一般的な方法だったかと思います。

現行の区分記載請求書等保存方式においては、1回当たりの税込取引金額が3万円未満の少額取引の場合や自動販売機から購入する場合など、請求書等の交付を受けられなかったことについてやむを得ない理由があるときについては、帳簿の保存のみで仕入税額控除を行うことができました。(旧消法30⑦、旧消令49①)

しかし、10月からのインボイス制度開始後は、この少額取引の場合や請求書等の交付を受けることが困難な場合に請求書等の保存が不要となる制度が廃止されます。少額な公共交通機関の運賃など一部の例外を除き、例え100円の消耗品の購入であっても、インボイスの保存が必要となります。

これは、ETCの利用料金についても同様です。今後はクレジットカードの利用明細だけでは、原則、仕入税額控除を行うことができません。(クレジットカードの利用明細は、インボイスには該当しないためです)

今後は、ETCの利用料金について仕入税額控除を行うためには、「ETC利用紹介サービス」から利用証明書(これがインボイスにあたります)をダウンロードし、これを保存する必要があります。

ただし、例外もあります。

基準期間の課税売上高1億円以下の中小事業者などについては、税込1万円未満の少額取引については、帳簿の保存のみで仕入税額控除を適用することができる経過措置がありますので、当面の間は、帳簿に記載するだけで仕入税額控除が受けられます。

インボイス制度、複雑ですね。

ご心配な方は、当事務所までご相談ください。

役員退職給与

平成29年税制改正後は、役員退職給与は「業績連動の役員退職給与」か「業績連動でない役員退職給与」かにより取り扱いが変わりました。

業績連動の役員退職給与の場合、業績連動給与としての損金算入要件を満たしてはじめて損金算入されます。中小企業の場合、業績連動給与の要件(有価証券報告書を提出していることなど)を満たせないため、業績連動の役員退職給与に該当しないようにしなければなりません。

なお、功績倍率法に基づいて支給する退職給与は法人税基本通達9-2-27の3により業績連動給与に該当しない旨が示されています。

(参考)法人税基本通達9-2-27の2 業績連動給与に該当しない退職給与

ただし、功績倍率法による場合でも、業績連動の要素が強い場合には、業績連動給与に該当するケースもあり得ますので注意が必要です。

法人税基本通達逐条解説(抜粋)
仮に法人が用いている「功績倍率」が業績連動給与に該当することとなる利益の 状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標等を基礎として算定されるも のである場合、業績連動給与に該当するケースも考えられる。

フードドライブ

今日、区役所に行く用事があったので、フードドライブの窓口に自宅で余っている食材の持ち込みをしてきました。

・賞味期限、消費期限が4カ月以上かつ未開封のものに限る
・お米は、精米日から1年以内で未開封のものに限る
・包装、外装破損品不可
・生鮮食品、冷凍・冷蔵食品不可
・アルコール類不可

上記のような厳しい条件があるので、選別した結果、持ち込みができるものは数点だけでしたが、それでも捨てるよりは良いかなと思い、行ってきました。

フードドライブの窓口は、品川区役所本庁舎6階環境課と書かれていたので行ってみると、特別の窓口はなく、ポスターが貼ってあるだけでした。

近くにいらっしゃった職員さんに声を掛けると、担当者の方が出てきてくださり、無事にお渡しすることができました。

また余った食材があったら、持っていきたいと思います。(余らせないようにするのが一番良いと思うので、気を付けます。)

相続時精算課税制度の見直し(令和5年度税制改正)

令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度について、基礎控除110万円の控除が適用されます。

これまでの相続時精算課税制度では、贈与税が非課税となる2,500万円の特別控除額はありましたが、贈与者が死亡したときに、この2,500万円分も含めて相続財産に足し戻されるため、節税効果は期待できない制度でした。
※相続財産が相続税の基礎控除以下である方など相続時に相続税の心配がない方が、年間110万円以上の贈与をしたい場合など、現行の精算課税制度が有効になるケースもあります。

また、一旦、相続時精算課税制度を選択すると、その後同じ贈与者からの贈与については精算課税制度が自動継続されるため、110万円以下の少額の贈与であっても申告する必要がありました。

この点について、令和5年度税制改正で大きく見直しが行われました。

相続時精算課税制度の改正のポイント

・基礎控除額110万円が創設 ⇒ 毎年110万円まで贈与税が非課税となる

・基礎控除額以下の贈与については、暦年課税と同様、申告は不要

・将来、贈与者が死亡した時に、基礎控除額以下の部分は相続財産に含めなくてよい ⇒ 毎年110万円は確実に節税できる

上記の改正は、令和6年1月1日からの贈与について適用されます。

注意点

相続時精算課税制度の適用開始年については、贈与税の申告書の提出期限内に「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

その年の贈与額が基礎控除額以下で贈与税の申告が不要であっても、届出書の提出は必要ですので気を付けましょう。(当該届出書の提出は適用開始年のみ)

令和6年からの贈与は暦年課税と精算課税、どちらが有利?

令和5年度税制改正で生前贈与加算が3年から7年に延長となりましたので、暦年課税制度については7年間は節税効果が期待できなくなりました。そのため、どちらが有利か判断するのは、より高度な判断が必要となりました。

当事務所では、相続税のシミュレーションなども行っていますので、ご興味のある方はご連絡ください。

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