「少額減価償却資産の特例」金額基準引き上げの見通しについて

令和7年12月に公表された令和8年度税制改正大綱の中でも、中小企業の設備投資に直接影響する改正として注目されているのが、「少額減価償却資産の特例」の金額基準の見直しです。

現時点では法案審議中ではありますが、成立の公算が高い状況にあるため、概要と実務上の留意点を整理いたします。


1.改正の概要

中小企業者等が利用できる「少額減価償却資産の特例」について、1資産あたりの取得価額の上限が引き上げられる予定です。

  • 現行:30万円未満
  • 改正案:40万円未満

なお、年間300万円までという総額限度は変更されません。

したがって、改正後は1資産40万円未満の減価償却資産について、合計300万円までは取得年度に全額損金算入が可能となる見込みです。


2.適用時期(予定)

本改正は、令和8年4月1日施行とされています。

適用関係は次のとおりとなる見込みです。

取得・事業供用日適用される上限額
令和8年3月31日まで30万円未満(現行)
令和8年4月1日以降40万円未満(改正後)

ここで重要なのは、「契約日」ではなく、実際に取得し、事業の用に供した日が基準となる点です。引渡日や使用開始日によって適用可否が決まりますので、実務上は十分な確認が必要です。


3.対象法人の要件変更

今回の改正では、対象法人の規模要件にも変更が予定されています。

  • 現行:常時使用する従業員500人以下
  • 改正後:常時使用する従業員400人以下

この見直しにより、一定規模の法人は特例の対象外となる可能性があります。


4.法案の審議状況

本改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律案」は、令和8年2月20日に閣議決定され、同日国会に提出されています。

現在、衆議院で審議中ですが、

  • 衆議院では与党が3分の2以上の議席を有していること
  • 政府・与党が年度内成立を目指していること
  • 予算関連法案であること

などから、3月末までに成立する可能性は極めて高いと見込まれます。

例年どおり、3月末成立・公布、4月1日施行という流れになる可能性が高い状況です。


5.実務上の検討ポイント

現在、30万円超40万円未満の設備投資をご検討されている場合には、取得時期によって税務上の取扱いが変わる可能性があります。

  • 令和8年3月31日までに取得・供用
    → 即時損金算入不可(通常の減価償却)
  • 令和8年4月1日以後に取得・供用
    → 即時損金算入可(年間300万円限度内)

決算対策、資金繰り、利益水準とのバランスを踏まえ、取得タイミングを検討する余地があると考えられます。


まとめ

少額減価償却資産の特例は、中小企業の設備投資判断に直結する制度です。今回の改正は一見シンプルな金額引き上げですが、適用時期や対象法人要件の変更など、実務上の確認事項も少なくありません。

法案成立・公布をもって正式決定となりますが、3月中の設備投資をご検討中の事業者様は、取得時期を含めた税務影響の確認をおすすめいたします。

今後も確定情報が公表され次第、随時整理してまいります。

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